『あと5年で中国が世界を制覇する』副島隆彦ISBN978-4-8284-1528-4
第1章 驚異の復活を遂げた中国経済の原動力
第2章 アメリカの衰退、日本の沈下
第3章 アメリカから中国へ、世界覇権委譲のシナリオ
第4章 中央アジアの時代が始まった
第5章 5年後、そして10年後の世界秩序
第6章 新・世界帝国の時代
副島隆彦:外資系銀行員、代ゼミ講師、常葉学園大学教授などを歴任。日本初の民間国家戦略組織,副島国家戦略研究所を設立。所長を務める。
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すでに日本は中国に追い抜かれた。
中国が、GDP(国内総生産)で、日本を今年中には追い抜くであろうことが、はっきりしてきた。
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副島には勝谷雅彦,小林よしのりらと『日本を貶めた10人の売国政治家』という幻冬舎からの新書がある。怪しげな経歴(自分のことは放っておいて)と反米・親中的な言説は,「トンデモ」本の扱いであるが,元銀行員だけあってデータは日経など客観的なものを出している。
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アメリカは中国の動向に怯えている。
アメリカは,必死で中国に頼み込んで,記事にあるとおり「中国が米国債の購入を続ける」ことに期待をにじませ」ている。
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米国債の主要な買い手は中国と日本である。米ドルを中心とする外貨準備高派手中国は日本を上回っており、中国の米国際売りに伴うドル安懸念は当分続く。日本の財務省当局は、経済産業省の「輸出政策」に惑わされて、保有米国債を更に買いますようだが、中国より先に売らなければ膨大な売却損を抱えることになりかねない。財政赤字の日本が更に米国債を買うのは確かに不思議だ。
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私、副島隆彦は決して中国礼賛一辺倒の言論をやってきた人間ではない。
あと3年したら、おそらくこの中央アジア色のある都市に、世界決済銀行が作られるであろう。
中国全部でヨーロッパとほぼ同じだと考えるべきだろう。
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副島は本書の取材のためにカザフスタンを訪問している。カザフスタン,ウズベキスタンはUBの木村勝夫会長も注目する発展地域。政情が安定し,鉱物資源も豊富でロシアと中国のバランスに建てるカザフスタンを世銀の候補と考えているようだ。
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世界覇権は120年周期で移動する。
1880年くらいに、たった20年間で石油の力で巨万の富を築いたロックフェラー財閥(中略)、今やアメリカのロックフェラー石油帝国が終わりつつある。
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中国国内には、胡錦濤、温家宝らのアメリカ支援消極派(北京派)と王岐山(副首相、太子党)という対立があると述べている。アメリカのロックフェラー石油帝国と太子党が結びつくことで、アメリカの延命を助けているというのだ。北京派,太子党という二つの対立軸は、次世代の中国の政治家、習近平(太子党)と李克強(北京派)に引き継がれている。
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東アジア地域の混乱と中国の首都移転の可能性
自分たちの安全のために北朝鮮の核ミサイルの射程距離1000キロのその外側に出なければ安心できないという事情がある。
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北朝鮮は、本当はアメリカ本土にミサイルを撃ちたいのだが、それほどの技術力はまだない。また、アメリカは「北朝鮮問題」を放り出し、形だけの6カ国協議開催の姿勢を示している。北朝鮮の今の技術力で核爆弾が落とせるのは、東京か北京。中国はそのことを知っているので、西安あたりに線としたいと考えている。また、北京は、漢人の都ではなく北方の女真族(もしくは蒙古)がたてた都である。そうした理由からも西安(長安)への遷都が真剣に検討されているという。
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中国は資源を求め世界各国へ触手を伸ばしている。
アフリカ諸国にはなんと、中国の若い習字(受刑者)たちまで連れて行って、建設現場で寝泊まりさせながら働かせているそうだ。
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中国は今、ユーラシア大陸からアフリカまで「人手」という経済支援をして、その国のインフラ整備に囚人を使っているという。アフリカと中近東でイスラエルを挟撃する戦略に出ているという。イスラエル、すなわちアメリカを追い落とすのが狙いだ。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は、アメリカが経済的に疲弊し,軍事ラインも下げざるを得ない要になるまでは相互に刺激することはしないと見ているらしい。
それなら、今民主党政権が、米軍基地の沖縄県外移設(嘉手納統合などと岡田は言っているが)問題など、放って置けばよい。アメリカにとって、日本は「守るべき対象ではない」か、または「よほど日本が金を出さないとアメリカは軍隊を出さない」状況が早晩起こるというのである。副島は、「中国は次の帝国になる」「アメリカとも中国ともけんか(戦争)しては損だ」と繰り返し述べる。戦争が無駄なものであることは明らかだが、「分かっちゃいるけど」やめられないから軍備が増強されているのではないだろうか。
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日中の密かな結びつき
右翼(保守)言論人たちも、この731部隊補償の形を借りた中国へのODA援助のことは大きく騒がない。騒ぐと731部隊問題の闇を自分たちが本気で調べなければならないことになる。
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副島の文は,一つの話題から始まっていつの間にか別の話題で終わると言うことが多い。「日中の結びつき」と言って始まった節が、「外側から見たら安全部か公安部か分からないことになっている。アメリカのCIAが、国務省の一部であることに似ているのだろう。」などと終わる。この終わりのどこが「日中の結びつき」なのだ。こうした構成力の低い文章を綴るから「トンデモ」本の仲間入りをせざるを得ないのかもしれない。
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普通語によって中国帝国はすでに統一されている
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この見出しもまた、副島の議論が粗雑であるように見える「普通語(プードンホア)」とルビを振っているのだが、「プートンホア」であれば「普通話」でなければならない。英語やら中国語やらカタカナのルビが多い。レオ・バイスゲルバーを引用して「民族というのは、同じ言語をしゃべる人間の共同体である」と説くのだが、「民族」には「フォルクス」というドイツ語のルビがつき、倍スゲルバーには「ベルリン大学フンボルト学派に属する」と注がつく。中途半端な知識のひけらかしで、ますます本書の杜撰さに輪をかける。
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ODAという日本の安全保障戦略
日本企業にとっては資本主義経済の根本的な宿痾(病気)であり弊害であるところの過剰生産(surplus)と余剰国内在庫を解消した。
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ODAという対外経済援助を通じてバブルの時代に,”経済協力畑”と四羽折れる通産官僚を在外公館(主に大使館)へ送り込み、隠れた世界戦略を「隠れて」実行していたという。副島の場合は、ODAさえも、そうした戦略に見えるのかもしれない。なるほど、立派な戦略になり得るが、果たして、一部の官僚のみの思惑が、そこまでの国家戦略として実施できたのか、副島のあげる「青木盛久、鈴木宗男」は「復権」していると言えるのか.彼らが復権していなければ、国家的戦略としての継続性は認められないように思う。
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リーマン・ショックの引き金はロシアが引いた
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本書が,後4ページで終わろうとするときの見出しである。唐突すぎて論評もできない。ロシアには北京オリンピックの開会式の日にイスラエルとアメリカの意図に惹かれてグルジアが南オセアチアに侵攻した。するとロシア軍一気になんかしてきて、その後、米国債、リーマン・ブラザーズ債、米住宅公社債を売り払ったというのである。これが事実として、どうして日本でちゃんとした報道がなされたように思えないのか。もしそうであるならば、私はメディア・リテラシーをもっと鍛えなければならない。
さらに、「マネーゲームの時代が終わり、物々交換が始まる」に至っては、トンデモ本とどういうつきあいをすればいいのかを考えざるを得ない。
トンデモ本も年に1冊ぐらいなら,頭の洗濯になる???