『学習する組織』
タイトルは,ピーター・M・センゲーの2006年の増補改訂版である。1990年版は光文社新書から出ている。原題は,"The Fifth Discipline The Art & Practice of the Learning Organization" である。
うかつにも買ってから気がついたのだが,こちらの版の翻訳に枝廣淳子が入っている。氏の講演会は,星光ビルの誘いで出席したことがあった。化石燃料に頼らない社会を目指す,ということだった。訳者の前書きでいきなり「レジリアンス(逆境から立ち直るしなやかさ)」が出てきて,金井壽宏がどこかに関わっているのか,と思った。ぼくの無知もいいところで,「レジリアンス」で検索をすると73,000件ぐらいはすぐ出てくるが,その多くは,精神医学関連,東北大震災での日本人の行動(こんなに簡単に十把一絡げにしていいのか),エステ(肌のリフトアップか),競争馬名の中に,組織のレジリアンスで枝廣とか金井(20位までに直接は出てこない)や他の社会科学者たちの論文(科研というのもある)に関するものが出てくる。
この本を求めたのは,まさに,ぼくの学校でそうした萌芽があり,それを支援したいからだ。例えば,「大阪校は夢中にさせる。共に成長」というのは,6月の全体会で出てきたものである。ぼくがお仕着せた「精力善用,自他共栄」はほとんど共感が得られていなかった。「質の高い日本語教育を目指す」では,大阪校の目指すものが見えない,と言われた。「大阪校だけの」というと,なんだかセクショナリズムめくが,身近な目標や理念(この場合は,教育理念でもあり,経営理念でもある)は必要だ。「質の高い日本語教育」では,なんだか薄められるような感じがするのだろう。
ほかにも,受付兼営業から応募者減少の傾向を打破するため,「誰が,何のために,何をやって」いて,「どんな結果を得」たかを中だけで会議をしたいという申し出があった。「中だけで」には,注釈が必要かもしれない。受付は,受付でミーティングをする。学生が来る,来客がある,電話が鳴る,そのたびに誰か一人が応対のためにミーティングらしい体をなさない。進捗管理について相談を受けたので,管理者養成のときに使ったフォーマットをKさんからもらって,サンプルを記載して渡した。そうしたら,早速,サンプルに書いた「留学問題解決能力の向上って何ですか?」と質問が来た。これは,今,ぼくがやっている「コア・コンピタンス(またはコア・コンピテンス)」作りの中核能力のことである。
一方,総務・経理のほうからは大商のセミナー(5回)のレポートが上がってきた。うちのキャッシュフローを社内全体で共有したい,というなかなかの大作であった。2,3の感想とアドバイスを付けて返した。
両方に言えることだが,ぼく自身もそうで,一人では仕事にはならない。翻訳家や作家ならともかく,組織人はたとえ新入社員であっても経営トップであっても「全体最適」にする方策を探し続けなければならない,と考える。翻訳家や作家であったとしても,自分で稿料の交渉をし,所得税の申告書を書き,編集者との打ち合わせのアポイントを取り,となると大変で,マネージャーを雇うこともある。勝谷誠彦は,NMB48と同じ「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」にマネジメントを任せている。
閑話休題。ちょうどタイミングよくセンゲーの(Youtubeを見ているとぼくには,そう聞こえる。ただし,もうすこしギーに近いかもしれない)訳本を見つけてしまったので,日本語教育能力検定試験も開ける頃に,読むとすることにした。


