ベストセラーは読むな
ベストセラーは読むべき,いや,買うべきでもない。岡野さんのかつての忠告にもかかわらず,本屋大賞第1位を買って読んだ。読了直後は,さほどの感想もなかったが,1日経つと「つまらなさ感」が漂い始めた("つまらなさ感"はGoogleで12,000件ヒット)。「寂寥感」というと寂しさがつきものだが,そうでもない。著者の甘さに気づきつつ最後まで読んだというのも確かにある。その理由を思い浮かべたが,まず,中で流れる時間に比してページ数が少ない。簡単に言えば,書き込みが浅い。ほぼ現在から10年ほど先の未来を描いていると思われるが,その割りにここ10年の変化ほどにも変化しない世界と対象を描いている。
主人公は学部で言語学を専攻したと書いているが,修論で何を採り上げたか(そんなことはエンターテイメントには必要ないが)とか,およそ言語学を専攻したことはなさそうで,研究者としての態度も見られない。市井の本の虫程度だ。つまり,主人公の作り込みが中途半端に思える。昨年11月にとあるブログに書いてあったように,現実味が乏しい。「一昔前」という表現がぴったりだが,冒頭に「携帯を持っていない変人」として描かれており,少なくともここ5~6年がその舞台であろう。
ほぼ全編が三人称だが,「俺」という一人称が地の文ででている箇所もある。誰に感情移入しているのか,読者は主人公として読めばいいのか,ぼくは少し戸惑った。

